名取芳彦のちょっといい話
第26話 えんま大王縁起
密蔵院前の歩道は幅2mもある。バス停もある(「バス停徒歩5歩」だ)。近くの赤信号ではお寺の前まで車の列がつながる。大勢の人が通るから、この地の利をいかさない手はない。でも、一般の人は境内になかなか入ってこない。それならい […]
第27話 「維摩(ゆいま)の部屋」その2
さて、前々回紹介した、仏教に精通し、大金持ちでありながら、それに執着することもなく、どんな場所にも出入りをして、周囲の人々を良い方向へ導いていってしまう維摩さん。 その彼が病気との噂がお釈迦さまの耳に。そこでお釈迦さ […]
第28話 神田正輝さんと昭和新山
テレビ番組に、有名人の旅モノがありますよね。かなり前に神田正輝さんが北海道の昭和新山を登る番組がありました。昭和18年からとつぜん畑に出現し、2年かけて標高407mに成長した火山です。まだ水蒸気をあげ、溶岩の熱気を残し […]
第30話 梅雨
世の中は、点のあるなしで大違い。ハケに毛があり、ハゲに毛がなし……私もこの間まで頭だったところがおでこになりました。他にも点々のあるなしで、気分が違うものに、梅雨時の形容があります。ジトジトとシトシト……。ねっ!違うで […]
第32話 マトリックスの仏教仕立て
映画マトリックスの第2弾が封切られて2週間(私はまだ見てません)。第1作ではジャンプした人間が空中で静止しているのにカメラがグルリとその周囲を回るカメラワークに度肝を抜かれ、エージェントの「人間は増殖し他の場所を浸食し […]
第33話 道徳をどう説く?
この1カ月の間に、4つの小学校で大人に話す機会がありました。道徳の公開講座として「心をどう育てる」という全然ウキウキしないメインタイトルでした。石原都知事が「心の東京改革」なるプランを出して、家庭、学校、地域で正義感、 […]
第34話 上手な断り方
私は、道徳の公開講座「心をどう育てる」の講演の前に、4年生の公開授業を見学した。どの授業を見学しても良かったのだが、「上手な断り方」というタイトルが印象に残ったからだ。 何故か?私の親は「お前は言い方も態度もぶっきらぼ […]
第35話 分からないとしておく勇気
とっても切なく、やりきれない内容のメールをいただきました。飲酒運転の青年が起こした事故で14歳のお子さんを亡くされた、お母さんからです。運転していた青年も電柱に衝突して亡くなったそうです。 事故から1年7カ月。固く、冷 […]
第36話 後悔
今回は16歳の出流さんからリクエスト「後悔」でいきます。 「他人のせいにすることにかけては天才だ」みたいな人が多くなってきたと言われるのに、16歳で今回のお題をくれた出流さんはとてもいい人なんだろうなと思います。 読 […]
第37話 悩みを解決しようとする人よりも
今回も頂戴したお題をもとに話を進めていきます。 8年ほどまえに、お坊さん向けの「ウツ病」の勉強会に出たことがあります。社会でウツ病が問題になり始めた頃でした。そうでないと、ウツ病の人を単に「暗い性格」くらいに思って、 […]
第38話 お経料って書かないで!
「住職さん、この包みには何て書けばいいんですか?お布施ですか、お経料ですか?」 「お布施がいいですよ。」 「お経料じゃダメ?」 「ダメです。料っていう字は、はかるっていう意味ですよ。坊さんの読経をはかるなんて変じゃない […]
第39話 神の国の国境
今回は、ずいぶん前に佐賀の蒼龍林さんからいただいていたお題です。どの宗教でも他の宗教を勧めるものはない、自分の教えが絶対と思っている……一体、それぞれの神や仏の世界ではどういうことになっているんだろう、という疑問からの […]
第40話 悟りの岸に渡るには……
どうも、仏教では「悟り」の定義ってこれというのは無いんじゃないかと思うんです。 曰く「実の如く自分の心を知ること」「無我」「空」「絶対の心の安らぎの境地」とかね、いろいろです。その世界は言葉では言い得ないので「言説不 […]
第41話 言霊
言葉がもつ不思議な霊力のことをコトダマ(言霊って書きます)、英語で言うと"the miraculous power of language"だ。 かつて森で水滴のレンズ作用か、あるいは乾燥した葉どうしの摩擦か、自然発 […]
第42話 元気な理由-愛語II-
前回言葉の話題がでたので、今回は愛語(その2)でいきます。 久しぶりに会った人に「やあ、元気だった?」と聞かれたら何と答えるだろう。 「はい」とだけ答えてはいけない。仏教徒は、というより日本人は「はい、おかげさまで」 […]
第43話 暗号解読表
テレビで、業界初のペーパーフィルターで抽出した缶コーヒーのCMをやっている。で、コーヒー好きの私は思った。「へぇ、それじゃ今までは何を使ってドリップしてたんだろう?でも、きっと味が何か違うんだろうな」 お坊さんとコー […]
第44話 駄目、駄目、レンズの目
この春、幼稚園をやっている先輩のお坊さんから、なるほどと唸る話を聞いた。 「運動会で、ビデオカメラでわが子を撮る親がいるけどね。」「ええ、私も場所取りできないで、家内に怒られた……。」「自分の子供が競争している時に、わ […]
第45話 出会い I
今回は、南アルプス市のreikoさんのリクエストです。「堅いお話から色っぽいものまで、お好きな範囲で結構です」だって。ありがたい話です。でもねえ~、色っぽいといわれても“色で導き、情けで教え、恋を菩提の橋となし、渡して […]
第46話 出会いII
えーと、最初にことわっておきますけど、このページは「出会い」とは銘打ってありますが、いわゆる「出会い系サイト」とは全然関係ありません(こうして文字数を無駄にしてるんだ……)。しかし、その手のサイトを利用したい人にこそ、 […]
第47話 奇跡と運命
平成6年秋にポルトガルで太鼓の林英哲(はやし えいてつ)さんと一緒に声明(しょうみょう)公演をやった。坊さん80人。3000人収容の会場は満員で、入れなくて文句を言う人が外に1000人いたらしい。夜10時にスタートした […]
第48話 引導を渡してやる!
さて、待ちに待ってたリクエストがきたので、今月はそれにお応えしてまいります。まずは白雪さんからの"引導を渡してやる!"です。 この言葉は「誘引化導」の略で、もともとは「仏の道へ誘い、引き込み、導いて、いい人に変化させ […]
第49話 ラッキーナンバー7 〔 I 〕
BDさんから「どうして三回忌の次は七回忌なんですか?」って質問的リクエストがきました。 故人を偲んで、縁ある人が集まって、お坊さんにお経を読んでもらうことを法事と言います(かなり大雑把な言い方だな……)。その法事は1 […]
第50話 ラッキーナンバー7 〔 II 〕
数には素数という、その数と1でしか割り切れないものがある。その中で最初に安定する数が3。その数に不思議さと神聖さを感じるのことを素数信仰……というのが前回の話(なんだ、こんな簡単なことに600字も使ったのか……)。 そ […]