名取芳彦のちょっといい話
第76話 勘違い親孝行その2
高校のヤンチャな生徒相手に翻弄され、ある意味で挫折し、23歳で東京の実家に戻った私は、ルンルン気分だった。ガールフレンドといつでも会えるようになったからだ。 その彼女と25歳で結婚した。彼女の歳は書かないでおく(ヒン […]
第77話 トラウマを克服する ―ジャンケン編―
ジャズボーカリストのお豆さんからお題をいただいた。いわく「トラウマを克服する」である。お酒の席で同じことを尋ねられたら“トラは一休さんに、ウマは武豊さんに頼めば克服できますよ”と茶化すにちがいない…… さて、この題を […]
第78話 トラウマを克服する ―オセロ編―
私の嫌いなゲームのひとつに、オセロがある。なぜ嫌いかというと、先を考えないと、次々にどんでん返しになって負けてしまうからだ。 今この時を、より良く生きることに全精力をついやしている坊さんだから、あまり先のことは考えない […]
第79話 いつか言ってみたい一言
歳相応の色気今月はじめ、奈良の長谷寺で、30分の法話を6回やった。次の出番で待っていたつくば市一乗院のご住職、鈴木暁仁僧正が、控室に戻った私に「名取さん、あんたの話は江戸風の歯切れの良さと、何より歳相応の色気があっ […]
第80話 オシャカとオダブツ
久しぶりにみみなちゃんからリクエストがきた(もう中学生だっけ?)。「オシャカになるって仏教語ですか?」というものだ。これは、物づくりをする人たちのあいだで使われていた言葉です。不良品やこわれちゃったものを「オシャカにな […]
第81話 南京玉簾的仏教
今回お題をいただいた都鳥さんは、ご詠歌を勉強している方です。歌をうたいながら仏教の勉強ができるというスグレモノのご詠歌の中には、数字のつく仏教語がたくさん出てきます(二利(にり)、四恩(しおん)、六波羅蜜(ろくはらみつ […]
第82話 霊のしわざ(霊感商法の手口)
「私の友達がへんな宗教に入ってしまって……」と相談を受けることが年に何度もある。この場合の相談というのは、入信した本人を普通の世界に連れ戻したいというよりも、その友達のことをどう理解したらよいのかというものだ。 そこで […]
第83話 超ラッキー!
高1の娘に何かの拍子に「これってスゲクない?」と若者言葉っぽく言ったら、高3と大2の伜が「お父さんのは、ただの茨城弁だよ」と言われて落ち込んだ……。私にはどこが違うのかわからないのだ。 さて、その子供たちが小学生の時 […]
第84話 なんか変だよなあ
中学3年の受験勉強でよく深夜放送を聞いていた。学生でデビューしたてのユーミン(荒井由美)がゲストにでて、30分マイクを任されて、生で初々しくベルベット・イースターなんかを歌ってくれた(新橋のヤクルトホールで観客が四分の […]
第86話 イキイキした目
入院しているアナウンサーのMさんを見舞った。今年80歳である(第8、15、16、65、66話に登場してくれている方です)。軽い黄疸が出たので検査したら、即入院になってしまったらしい。 入院の知らせを受けて3週間後、ア […]
第87話 病院の暗さ
Mさんを見舞って、病院の自動ドアから外に出て、私はふと思った。 どんなに病院が近代的なデザインを取り入れた内装をほどこしても、食事を選べるようになっても、看護婦さんたちがハキハキしていても、病院、特に病室は独特の暗さを […]
第88話 雑巾がけと、ハタキかけ
群馬県の赤城山の麓に金剛寺というお寺がある。住職の志田洋遠さんは子供会を30年近くもやっている。5年前、この住職から面白い話を聞いた。 夏なのに、冬休みの話で恐縮だが、冬休みの子供会は、まず本堂の掃除からはじまるそう […]
第89話 20年の重さ
今回は朝、塔婆を書いていてふと思ったことを書きます。 明治以来120年間住職がいなかった密蔵院に夫婦で入って今年で20年になる。そして、57歳で母が亡くなって来年で20年になる。 20年前、密蔵院には広間として8畳 […]
第90話 お盆が2回のわけ
みみなさんから「どうしてお盆は、7月と8月の2回あるんですか」という質問的お題をいただきました。多くの大人は何となくしかわかっていないと思えるので、いい機会だからここで一回書いておきます。 でも、これには3つのポイント […]
第91話 このお経いつ終わるんだろう(小説風)
このお経はいつ終わるんだろう……わが家の仏間に正座した親戚、家族の誰もが、そう思っていた。すでに、お坊さんのお経が始まって2分ほど経過していた。 わが家は今年の夏、新盆をむかえた。"わしが初代の先祖になるんだ"と満足 […]
第92話 井戸の蛙と、笑わば、笑え!
一年間の教師生活をしたといえども、な~んにもできないで辞めてしまったから、寺に生まれ、育った私は言わばお坊さんの純粋培養みたいなもの。そんな私でも、宗派の布教誌の編集や、ご詠歌を一生懸命、もうやり過ぎじゃない?と揶揄さ […]
第93話 無視できない虫
調べ物のために数年間開いていなかった本をあけたりすると、体長一ミリにもみたないベージュ色の虫の姿が歩いていることがある。塔婆の上でも見かけたことがあるから、きっと木の繊維を食べる虫なんだと思う(名前をご存じの方は教えて […]
第94話 僕がヒーローだった頃の「敵」
小学生のころ、戦隊もののヒーローになるのが得意だった。敵はブラック××やダーク△△だ。一人で悪役のセリフまでこなしながら、他の人には見えないであろう宿敵と立ち向かい、見事に戦い、そして勝利したものだ(あたりまえだ。負け […]
第95話 旦那とドネーション
仏教で、心がやすらかになる方法の一つが布施。坊さんの私が言うと“ナンダ…、またカネの話か”なんて思われそうですが、それはまた別の機会に書くことにします(コッチにだって、言いたいことあるんだからね!)。 さて、気を取り […]
第96話 面倒をみたんだから面倒みろよ
家族で車にのって、夕飯に出かけた。後部座席には、私より背が高くなった長男、90kgの私より体重で巨大化した次男、身長157cmの母より背も態度もデカイ娘が、肩を交差させながら乗車した。こうなると、ルームミラーでは後方確 […]
第97話 ビデオで撮るのは子どもばっか?
運動会で、子どもがゴールした時に見るのが親の目じゃなく、レンズの目なんてぇのはマズイッスヨというのは第44話でした。誕生から、お宮参り、七五三、入学式、家族旅行など、おりにふれて撮られる映像は、成長したわが子の披露宴で […]
第98話 花束贈呈の謎
私は覚えていないけど、どうやら私の母は、私を口から先に生んでくれたようで、司会をさせてもらった結婚披露宴は10をこえる。多くは、来賓の肩書で専門用語が多いお坊さんの披露宴だ(来賓の中で、黒の洋服で来るお坊さんが多い時、 […]
第99話 お元気の裏側-七五三-
ありがたいことに、この秋も月に2、3回はお話を頼まれているのだが、司会者の、穴があったら入りたいような紹介の後、皆さんの前にでて私は開口一番“聞いて極楽、見て地獄、名取でございます”と言う(ご婦人が少なければ“破れ猿股 […]
第100話 ほら、あなたの隣にも
おお、記念すべき、100回目だぁ!そこで、今回はみなさんのおかげでここまできたので、質問に答える形で進めます。福岡の高鍋さんから「仏教で33って数字をよく見るけど、どんな意味があるの?」という質問をいただきました。では […]