名取芳彦のちょっといい話2
第176話 決まり文句
かしこまって喜び、特に感謝を述べる時に「恭悦至極(きょうえつしごく)に存じます」と言う。――と書いたが、私は冗談まじりなら何度か言った記憶があるが、かしこまった状況で言ったことがない(そもそもこの言葉は口語ではないのか […]
第177話 ございますとゴザンス
東京江戸川区にある密蔵院は、明治から私たち夫婦が入るまで120年間、お坊さんが不在のお寺だった。檀家さんやその知り合いが留守番をして、お線香つけや掃除などをしてくれていた。 私たち夫婦が入った時にも、留守番のおばあさん […]
第179話 仏教と仏道
世の中“般若心経ブーム”なのだそうだ。この秋に出版される拙著『人生荷物の整理の仕方――般若心経から読み解く――(仮題)』(経済界出版)も、そのラインにのっている(詳しくはまた書きます)。そして、奇しくも時を同じくして、 […]
第180話 負けた回数
高校球児たちの熱い夏が終わって一週間。それぞれの人が、自分とさまざまな縁のあるチームを応援したことでしょう。今年の決勝は、再試合の結果の早稲田実業の優勝。この再試合のあった先週の21日(月)は、密蔵院では「浪曲の会」。 […]
第181話 アブナカッタ……
ある檀家さんがご両親の23回忌の法事の打ち合わせに来た時に「ちょっとお願いがあるんだけど」と少し言いにくそうに言った。「何ですか」「実は、ちょっとお骨のことで気になってることがあってね」「へえ、どんなことです」「うちの […]
第182話 しゃべりと人柄
「私は無口で……」と自分でいう人ほど、「それって六つの口で、六口って書くんじゃないの?」とツッコミたくなるのは私だけだろうか。 よく喋る人というのは、だいたい人の話は聞いていないことが多く、こちらが「今日は天気がいい […]
第183話 気持ちの切り換え
年に何回か慶弔が重なることがある。結婚式に参列した日に檀家さんのお通夜、お葬式をやった日に仲間うちの楽しいパーティなどである。 数年前、たまたま家内の所に遊びにきていた方がいた。私は檀家さんのお葬式から帰宅して、ろく […]
第184話 前向きと重心
ライブハウスで毎月やらせてもらっている聲明ライブで、今年になって3回一緒に参加してくれているバンド「輪(わ)」。人を元気に、あたたかくしてくれる松谷将之、森貴志、つるよしのりの元気な3人組。密蔵院で年に二度ほどおでんパ […]
第185話 重心と前向き
ツルちゃんの「誕生というのは、どう考えても前向きな現象でしょ」という一言(詳しくは前回「第184話 前向きと重心」をお読みください。2分で読めますから)を聞いて、私はお世話になった大ベテランのアナウンサー、村上正行さん […]
第186話 単独行動(ソロ活動)
1ヶ月前の9月9日(土)に、密蔵院初の本堂での仏前結婚式があった。以前から「お寺で結婚式やればいいのに」と思っていたのだが、具体的に「やってくれないですか」と言われて初めて、それまで私が考えていたことが机上の空論だった […]
第187話 人生を○(まる)洗い
何と、垢抜けた、大雑把で、底抜けに気持ちのいいタイトルではありませんか。 人生を○(まる)洗い! この言葉が私宛のメールボックスに送られてきたのは9月25日、月曜日の午後のこと。一瞬唖然として、そのあと、腹を抱えて […]
第189話 心の太陽あらわそう
どんなに近くでも 見えないものがある まぶたの先のまつ毛 命をつなぐ空気 すぎて行く時間 痛み苦しむ心 これは、私の友だち(と言ったら本人は嫌がるかもしれませんが)であり、二胡奏者でもあり、シンガー・ソング・ライターで […]
第190話 ユーモアで包んじゃえ!
仏教とユーモアがどう繋がるのか、どんな具合に絡むのか……。確かなことは言えません。 お釈迦さまや弘法大師、他の祖師方の記述や伝記の中にユーモアや冗談を言ったという記録を見いだすことはなかなかできないようです。一休さんや […]
第191話 あんな人になるために
今回は“ここみのPAPA”さんからお題をいただきました。添え書きにはこうあります。「自分が尊敬する人のようになるためには、その人の生き方や生活スタイルを真似するのが一番の近道だと思います。しかし、一方で個性が無くなって […]
第192話 人間性と学歴??
今回リクエストをくださった鹿児島の“みぃ”さんは受験生を持つお母さん。お嬢さんはあまり勉強熱心ではないけれど、性格はやさしくていい娘だそうです(母親の温かい眼差しを感じます)。でも……、“どんなに いい人♪ でも、成績 […]
第193話 今夜は静かだね
どういうわけか、お寺の横の道を車が通らない夜がある。そんな時、ふとつぶやく。「今夜は静かだね。まるでお正月みたいだ」 何のめぐり合わせか誰も夜テレビをつけない日がある。どうしても見たい番組などそうあるものではないから […]
第194話 芳彦流お釈迦さまご一代
インド北部、シャカ国(日本で言えば千葉県くらいだったらしい)で一人の王子が誕生したのが、今から約2500年前。名前をゴータマ・シッダールタ、後のお釈迦さまである。 残念ながら産みの親である母さん(マヤ)は、ゴータマを生 […]
第195話 自分の居場所
仏教に「無住処(むじゅうしょ)」という言葉があります。漢字から“住む所が無い”だからホームレスだと思ったら大間違い。これは、特定の場所に留まっていない、縛られていない、自由にどこにでもいられる――という、とてもいい意味 […]
第196話 心はどこにある
“ここみのPAPA”さんから、お題というより、質問?をいただきました。 “色々な事を考え、感じるのは、頭ですよね?暑い、寒い、苦い(にがい)、美味しい、嬉しい、悲しい、好き、嫌いなどを感じるのも指先や、眼や、舌から脳 […]
第197話 心の病気と気持ち
「もうそろそろダメかもしんないな……」 肝臓ガンだった父は自分の体調がすぐれないと、すぐにこんなセリフを私に言った。何度も言われる方は、たまったものではない。 「“もう死んじゃうかもしれない”って言われたって、どうし […]
第198話 三日坊主
今回のお題は“都鳥”さんからの「三日坊主」です。 で、“三日坊主”の語源が気になって調べたら、「僧の修業というのは朝早くからのお勤めにはじまり、規則正しい生活を送らねばならず、また食事も粗食です。つい、衝動的に頭を丸め […]
第199話 いい加減にしてください!
今年のお正月も面白かった――と言うと不遜かもしれませんけど。 お墓参りに来た檀家さんのうち5人に聞かれたのです。「お正月は7日まではお墓参りはしてはいけないと聞いたんですけど、そうなんですか?」「誰がそんなこと言ったん […]