お彼岸
第36話 「供える」「食べる」
10歳で夭折した坊やの四十九日の法事があって、お斎の席に着いた時、床の間に安置された位牌と写真を見て、“坊や、私たちだけ頂戴して済まんなァ”という気になり、ジュースをコップに移してお供えした。するとしばらくして末席にい […]
第97話 曼珠沙華の咲くころ
この間、病いをおして遠くから訪ねて来た知り合いの老人が、「もう会えないだろう」と感慨ぶかげにいうので、名残りを惜しんで羽田空港まで見送った。 いつもは気ぜわしく乗り降りしている空港だが、その日は見送りでもあり、時間もあ […]
第91話 一度きりの人生
秋のお彼岸がやってまいります。そこでお彼岸にちなんで私たちの人生をふり返ってみましょう。 「もし、もう一度この人生をやり直すことができたら、今よりもう少しましな生き方をするのだがなぁ…」とは誰もが一度は考えることかも […]
第93話 心を彼岸に
「生死を此岸とし 涅槃を彼岸とす」 春秋二回の彼岸の季節は、大自然の躍動と静寂を教える最も美しい時期です。 寒からず暑からず、昼も夜も二分され太陽の運行もまともに東から西へ移りゆく、古人はこれらの自然の運行に身を慎 […]
第94話 敬老と彼岸
◎敬老の日 9月15日 多年にわたり、社会につくしてきた老人を敬愛し、長寿を祝う。 ◎秋分の日 9月23日 祖先をうやまい、なくなった人々をしのぶ。(国民の祝日に関する法律より) 現在の日本は21世紀に向けて、高齢者社 […]
第97話 彼岸へのみち
「生死を此岸とし 涅槃を彼岸とし 煩悩を中流となす 菩薩は無想の智慧をもって禅定の舟船に乗り 生死を此岸より涅槃の彼岸に到る 禅定の舟船とは 布施・規律・忍耐・精進・禅定・智慧を指す」 焼けつくような炎暑も去り、残暑 […]
第98話 彼岸に生きよう
「生死を此岸となし、涅槃を彼岸となし、煩悩を中流となす。菩薩は無想の智慧をもって禅定の舟船に乗り、生死を此岸より涅槃の彼岸に到る」 9月、暑さ寒さも彼岸まで、春秋二季の彼岸会は共に季節の変わり目、殊に秋は厳しい暑さか […]
第35話 季節の行方
山形から畏友から、ルビーのような見事なサクランボが届いた。年々早くなる贈り物に、家内総出で戴き、季節を満喫した。 サクランボは早生というわけでもないのに、四月には店頭に並ぶし、今年も桃や梨、蜜柑だって出ている。 蜜 […]
第40話 悟りの岸に渡るには……
どうも、仏教では「悟り」の定義ってこれというのは無いんじゃないかと思うんです。 曰く「実の如く自分の心を知ること」「無我」「空」「絶対の心の安らぎの境地」とかね、いろいろです。その世界は言葉では言い得ないので「言説不 […]
第94話 僕がヒーローだった頃の「敵」
小学生のころ、戦隊もののヒーローになるのが得意だった。敵はブラック××やダーク△△だ。一人で悪役のセリフまでこなしながら、他の人には見えないであろう宿敵と立ち向かい、見事に戦い、そして勝利したものだ(あたりまえだ。負け […]