仏教用語
第86話 密教の仏[11] 阿閦如来ii
仏教においては、何人も極楽へ往生することを願うわけであるが、既に三回忌には阿弥陀仏のもとへ赴き、大願を果たしているのに、何故七回忌を迎え、さらに追善を重ねるのか、疑問を持つ方も多いと思う。 実は、釈尊を本仏として成仏 […]
第87話 密教の仏[12] 大日如来i
大日如来は、真言密教の絶対本尊で、いわゆる仏陀(法身)である。梵名を摩訶毘盧遮那如来といい、遍照如来(大いなる智慧と光明であまねく世を照らし、救いたもう仏)と訳され、宇宙そのものというか、全てを抱合する真理を具現する教 […]
第88話 密教の仏[12] 大日如来ii
精霊去って既に壱拾三年、馨音絶えて茲に四千余日を重ねた十三回忌(満十二年)は、金剛界大日如来を本尊として修す。 密教辞典に頼るので、難しくなって恐縮だが、金剛界大日如来は、密教の根本経典である「金剛頂経(金剛頂一切如 […]
第89話 密教の仏[12] 大日如来iii
十七回忌は、十三仏の追善供養の法要には含まれないが、金剛界大日と共に両部として、極めて重要な本尊である胎蔵界大日如来を本仏として営まれるので、ここに記す。 胎蔵大日(本来「界」は付けない)は、大日経(大毘盧遮那成仏神 […]
第90話 密教の仏[13] 虚空蔵菩薩i
愈々十三の「密教の仏」も、最後の虚空蔵菩薩を説くに至った。深遠な世界を、巧く伝達できたかが心配であるが、祖先から自分への尊い命の受け継ぎを感謝し、先亡諸精霊への追善供養に実践して戴ければ幸いである。 扠て虚空蔵菩薩は […]
第91話 密教の仏[13] 虚空蔵菩薩ii
虚空蔵菩薩は、三十三回忌の本尊である。三十三回忌は、俗に「留め」の法事とも言われ、虚空菩薩より上主の菩薩がいないことから、残された者の最後の勤めで、総てを立派に供養し尽くした意味からか、地方によっては半ばおめでたい法要 […]
第92話 密教の色彩I
仏教のもつ色調は、本来は彩色豊かで、金色や銀色に輝く美しい世界を持つ。 殊に密教(真言宗)は、宇宙のあるがままを素直に肯定するため、極彩色の世界にその教えをあますことなく包み込み(様々な色彩も全て仏慧=教えとして肯定 […]
第93話 密教の色彩II
密教の真理の教えは、「大日如来」によって八十億の菩薩に説かれ、その教えを受けて展開する代表の仏が、金胎四仏(※括弧は胎蔵)で「阿閦如来(宝憧如来)、宝生如来(開敷華王如来)、阿彌陀如来(無量壽如来)、不空成就如来(天鼓 […]
第94話 現代葬儀事情I
多分反論もあろうと思うが、葬儀についての事情を申し述べる。 今世紀の半ばには、3人に1人は65才以上という。ということは、廻り中(私を含めて)年寄りだらけ、どんなに長生きしたって、極近にはみぃ~んな彼方へ逝くわけで、 […]
第95話 現代葬儀事情II
現代の社会問題の要因は、全てとは言えないが、かなりの比重で本来の姿が「見えなくなった」ことにあると思っている。 葬儀もそうで、「葬式仏教」という嘲笑も含めた、問題視される昨今のお寺を取り巻く風評も、葬儀の正しい姿が「 […]
第96話 現代葬儀事情III
葬儀に、ご馳走を振舞うようになったのは、いつ頃からだろう。多分、住宅事情が変わって、一戸建てのマイホームを持てるようになった頃で、個人尊重(プライバシー)を理由に、家族も自分一人の部屋を持つ事が、当たり前になった時代で […]
第97話 現代葬儀事情IV
親族や同朋や近隣が、相互互助の分かち合いの精神で営まれていた祭事は、業者と呼ばれる商売の専門家によって運営されるようになり、本来の姿を見えなくするほどにその意識や形式は、過激に変化を遂げた。 元々業者は存在したが、彼 […]
第98話 現代葬儀事情V
科学や文明の発達は、生活や習慣をより良く変えたが、時には残酷な様も呈する。 臨終の有り様もそうで、死の瞬間は肉親や親族の励ましと慟哭の看取り場であったが、蘇生を重視する現代医学では、最後まで治療を施し、馬乗りになる人 […]
第5話 「おかげ」話のカラクリ
リクエストをいただいたので、「おかげ」でいきます(ウレシイ……)。 私たちは、色々な人や物から色々な影響を受けてますよね。仏教では縁とも言いますけど。 さて、この影響(縁)のうち、今の自分に良い影響のことを、私たち […]
第6話 未来投資型の自業自得論
ハンドルネームtabasaさんから「業」ついて教えてというリクエストいただきました。 そう言えば、半年程前に檀家さんから「ある人にあんたは業が深いからねって言われたんだけど」と相談がありました。ひどいことを言う人がい […]
第9話 お題拝借の裏事情
今回は皆さんからお題をいただくことにした裏事情―仏教加減乗除の秘密―について書きます。 私の師僧が、晩年言っていた言葉に「どんなことだって仏教という教えで割ってみれば、余りはでないはずだよ」というのがあります。 な […]
第10話 苦 ―ご都合通り―
暖かい日の翌日、急に気温が下がると「住職さん。こう急に寒くなったんじゃ、かなわねえよな」と玄関で言うオヤジさんがいます。その時にはこう返します。「そりゃ、旦那のご都合通りにはいかないよ」 仏教は、私たちがどうやって生 […]
第20話 四つのお願い
他の人からほめられ、認められ、愛され、そして人の役にたちたいという人の根源的とも思える四つの願い――。私がこのコーナーお受けしたのも、考えて見れば、この四つの欲求を満たせてくれるに充分なものだったからでしょう。 ところ […]
第22話 モラルの原点
森さんから「モラルの原点とは」のリクエストが来た。 日本語辞典で調べたら「道徳」とでた。さらに英英辞典には「行為の善悪の基準となる原理」だって(原文略)……ますます、難しい。悪の代表とされる殺人にしても、チャップリン […]
第25話 「維摩(ゆいま)の部屋」その1
「維摩経(ゆいまきょう)」というお経があります。お坊さんではないのに仏教に精通し、それを実践している維摩という人が主人公なんですが、この維摩を『仏教教典散策』中村元編著(東書選書37)で、小気味よく紹介をしてくれている […]
第26話 えんま大王縁起
密蔵院前の歩道は幅2mもある。バス停もある(「バス停徒歩5歩」だ)。近くの赤信号ではお寺の前まで車の列がつながる。大勢の人が通るから、この地の利をいかさない手はない。でも、一般の人は境内になかなか入ってこない。それならい […]
第27話 「維摩(ゆいま)の部屋」その2
さて、前々回紹介した、仏教に精通し、大金持ちでありながら、それに執着することもなく、どんな場所にも出入りをして、周囲の人々を良い方向へ導いていってしまう維摩さん。 その彼が病気との噂がお釈迦さまの耳に。そこでお釈迦さ […]
第35話 分からないとしておく勇気
とっても切なく、やりきれない内容のメールをいただきました。飲酒運転の青年が起こした事故で14歳のお子さんを亡くされた、お母さんからです。運転していた青年も電柱に衝突して亡くなったそうです。 事故から1年7カ月。固く、冷 […]