禅語・禅問答
第72話 梅一輪
昔、中国の詩人が春をたずねて、一日中、野山を散策したが、つい春を見つけることができず、疲れた足をひきずってわが家に帰り、ふと庭先の梅の梢に花のふくらみを発見し、「春はこんな身近にあったのか」と、感激の詩を賦している。 […]
第82話 牛蒡の頭
禅寺の朝食はお粥に相場がきまってますが、時としてご飯になることがあります。 ご飯には一汁一菜がつきます。 或る朝のこと、その日はご飯でした。 風外和尚は小僧の運んできたお膳につき、箸をとり、まずひと口味噌汁を吸い、「 […]
第85話 水と氷の如くにて
昆虫は卵から幼虫になり、幼虫が蛹になり、蛹が成虫になり、成虫が卵を生み、その卵が幼虫になるというふうに姿を全く変えております。つまり完全変態しております。だから蛹の一生を取り出してみると、幼虫から生まれ変わり、死んで成 […]
第86話 相続や大難
私どもの周囲には、才能のあるにまかせて、あれもやり、これもやりして生命力を分散し、結局は虻蜂とらずの一生を終わる人が少なくなりません。 逆に、たとえ才能には恵まれていなくとも、自らの能力に応じた守備範囲を堅く守って、一 […]
第87話 人間万事塞翁が馬
私どもの周囲には、才能のあるにまかせて、あれもやり、これもやりして生命力を分散し、結局は虻蜂とらずの一生を終わる人が少なくなりません。 逆に、たとえ才能には恵まれていなくとも、自らの能力に応じた守備範囲を堅く守って、一つ […]
第92話 人間の好時節
春、百花あり。秋、月あり。夏、涼風あり。冬、雪あり。もし、閑事の心頭に挂ることなくんば、すなわちこれ人間の好時節。 これは、禅門で有名な「無門関」にある偈(詩)です。 春は百花爛漫として咲き綻び、秋は月が美しい。 夏は […]
第92話 井戸の蛙と、笑わば、笑え!
一年間の教師生活をしたといえども、な~んにもできないで辞めてしまったから、寺に生まれ、育った私は言わばお坊さんの純粋培養みたいなもの。そんな私でも、宗派の布教誌の編集や、ご詠歌を一生懸命、もうやり過ぎじゃない?と揶揄さ […]
第93話 無視できない虫
調べ物のために数年間開いていなかった本をあけたりすると、体長一ミリにもみたないベージュ色の虫の姿が歩いていることがある。塔婆の上でも見かけたことがあるから、きっと木の繊維を食べる虫なんだと思う(名前をご存じの方は教えて […]
第112話 まあイヤラシイ
この話は第111話からの続きです。まずそちらを読んでください。 ヌードダンサーでもあるTさんは言った。「私は脱ぐことにこだわっているんです」 こんな書き方をすると誤解をする人がいるかもしれないが、坊さんの私には彼女のこ […]