道徳・信仰
第55話 神仏と共に在る心を育てる
「三つ児の魂百まで」といい、幼稚園から小学校時代にかけて、人間の魂の方向、性格ができあがるといわれる。だからこの時期に、神や仏という絶対者と共に在るという確信を持たせることが大切なのだが、無宗教教育に育てられた日本人に […]
第56話 正しい宗教に生きること
前回、絶対随順について話をしたが、オウムの信者はまさに絶対随順の信仰生活をしている。ここで大切なことは、その宗教が本物か否か、見分ける見識を持つことであるが、これがたいへん難しい。 戦前においては、旧制高等学校から大 […]
第59話 宗教なき教育は賢い鬼をつくる
明治五年の学制発布以来、宗教は教育のラチ外に押しのけられ、爾来日本国民は公教育の場では無宗教教育に育てられた。 しかし教育の基盤に、宗教がいかに大切なものであるか、それはいみじくも聖徳太子が十七条憲法の第二条に明確に述 […]
第73話 敬虔の念
今日の日本人のものの考え方はあまりにも現実的・即物的で、奥床しい人格の中心をなす最も尊い敬虔の念を失っているが、敬うべきものを敬わない敬虔の気持ちのない人間ぐらいつまらぬものはない。 なぜなら人格の尊厳を自覚しないから […]
第89話 子供は見ている
『鳩翁道話』にこんな話があります。 昔、ある家に目の見えない姑さんがおりました。嫁さんはひどく邪険に扱って、姑がごはんをこぼすからといってうす汚い木の空箱になんでも放り込んで食べさせておりました。ところが或る日、子供た […]
第6話 ストレスを進んで受け入れる
“ストレスは病気の原因”だとか“ストレス解消のために”とか言って、ストレスはすべての人間にとって悪いものだ、ないほうがよいといった考え方が多いようです。 しかし、ストレスは避けられるものではありません。避けられない以上 […]
第13話 人間は二度誕生しなければならない
文豪トルストイはこう言った。 「人間は二度誕生しなければならない。一度は母親によって肉体の誕生を、もう一度は宗教によって魂の誕生をとげねばならぬ。この二度の誕生を経てはじめて本当の人間になるのだ」 と。味わい深い言葉だ […]
第14話 小さな善事にも至大の価値がある
仏教では、どんなにそれが“小さくても善い行い”というものには、至大(この上ない)の価値と意味があるものだと教える。一人の人を心から愛し得るものは、ただちに社会を人類を愛し得るものだと説く。これが仏教の説く大事な宗教的真 […]
第18話 人間は人間を差別してはいけない
人間が人間を差別していじめるということほど、いけないことはない。よくわかっていながら、なかなか消えさらない。 仏教は徹底して人間平等を教えている。法華経の二十番目の常不軽品に出てくる常不軽菩薩のありかたが、人間のありか […]
第29話 合掌のこころ
人生には、むさぼりやまぬ貧欲があり、他人の幸福をみては、さびしく、抑え切れぬねたましさがあり、あんな奴殺してやりたいと思うような怒りがあり、自己を静かに反省することを知らぬ愚かさがある。こうした世界には合掌はない。 […]
第31話 道徳と宗教はどう違うか
人間は、“道徳さえきちっと守って生きてゆけば、信仰や宗教など必要ではない”と言う人が、かなりたくさんいる。これは間違っている。 道徳とは人格を高めようとするところに生まれたものであり、宗教はほんとうの生きる道を教える […]
第37話 「こころ」の在り方を問う ─仏教の出番はいま─
地球をこれ以上汚してはいけないというので、省エネを進めたり、二酸化炭素の排出量を規制したりしている。もちろん、これは当面大切な対策であるけれど、そのように、起こってしまってから、慌てて一時的な尻ぬぐいみたいな処理をして […]
第43話 老後の真の頼りは何か
総務庁は「老人の生活と意識に関する国際比較調査」の結果を発表した。それによると、老人にとって「一番大切なもの」は「家族・子供」という点では各国共通。だが、「2番目に大切なもの」で、日本は「財産」との回答がトップで、「友 […]
第44話 人間性の真実を受けとめるしつけと教育を
このごろ、私の近くで国立大学に通っていた秀才が、思いがけない非行と犯罪を犯して、退学の止むなきに至り、近隣を驚かせた。考えてみると、今の親や教育者たちは、大脳の新しい皮質のほうに、職業人となるためのおびただしい知能を詰 […]
第46話 考える人は長生きする人
今日はどうして人類だけがこうも寿命が延びたかについて考えてみたい。 学者の指摘によれば、今から4000年昔の人類の平均寿命は18歳くらいだったという。他の哺乳動物とともに原野を駆け巡っていたころの寿命である。他の哺乳 […]
第49話 そんなことをすると罰があたる
ある隠居のご老人が言いました。 「この頃飛行機が落ちたり、バスがひっくり返ったり、悪いことばかりつづく。みんな人間が悪いから罰があたっとるんじゃ。」 すると、その老妻のお婆さんが 「そうじゃのう、お経の中にある末法の世 […]
第56話 いのちの重さを知らぬ若者
この頃の若者による暴力沙汰、ことに殺人事件の多いのには、心を暗くさせられます。青少年の死に対する感覚が、この頃明らかに変わってきているようです。殺人が多いと同じように自殺も増えています。他人の死について深く受けとめない […]
第57話 精神の峻厳さを忘れた若者たち
この頃、総理府が発表した「科学技術と社会に関する世論調査」によると、18才から29才までの青年で、易や占いの本を読んだことがある人の割合は78%にのぼっている。 ところが、占いを「かなり当たると思う」のはわずか2%、 […]
第60話 人の命は機械ではない
総理大臣の諮問機関として昨年発足した「脳死臨調」は精力的に実動しているもようでときどき新聞などにも動きが報道される。 近く、首相の答申が出されるとのことであるが、どのような内容であるのかわたくしどもは深い関心をもって […]
第61話 人間の臓器は単なる『物』ではない
いわゆる脳死状態の患者から、臓器を摘出して、他の患者に移植することを認める臓器移植法案が、議員立法として国会に提出されている。 仏教界からも各宗派の研究機関から見解表明が行われているが、おおむね、脳死による内臓移植に […]
第64話 人は死すべきものである
末期患者の安楽死を合法化する「安楽死法」が米国オレゴン州で誕生したとの報道があった。すでに昨年、オランダでは安楽死が容認されており、無駄な延命治療を拒否して「死ぬ権利」を認める動きが世界的潮流となりつつある。 しかし […]
第65話 形より心へ
昔、ある孝行息子が、足腰の立たない父親を背負って、お殿様のお通りを拜ませていると、それがお目にとまって、 「感心な若者じゃ。褒美をつかわせ」 というので、沢山の頂戴物をした。 その話を聞いた親不幸で評判男、 「うまいこ […]
第67話 国家と宗教は分離せねばいけない
中東戦争はいったいどうなってゆくのか、世界中の誰もがはっきりわからぬというのが今の状態であるが、たとえ殺し合いの戦争が終ったとしても憎しみや恨みに根ざした争いごとはかなりながく続くものとみられる。そのわけは、この中東の […]