第3話 もともとの色
『オズの魔法使い』という映画があります。主人公の女の子ドロシーが、黄色のブロックの道(イエロー ブリック ロード)を歩いて、魔法の国オズに行く話です。主題歌の「オーバー ザ レインボー」も有名で、私が仲間と声明(しょうみょう)のライブをやっている新小岩のジャズスポット、チピーというお店でもよく演奏されています。
ところで、イチョウやモミジに代表される落葉樹は、秋になって葉緑素の活動が弱ってくると、葉のもともとの色が出てくるのだそうです。葉の緑色が、変色するのではなく、本当の色が出現しただけなんですって。
これって、とても仏教的だと思います。よく仏教では、普通の人(悩み多き人 ex.他人に何か言われると、気になって、夜も寝られずに、寝られないから昼間眠くなっちゃう人)が、修行をすると仏に変身する、みたいに思っている人がいますが、これって違うんです。
私たちはもともと仏と同じなんです。だから色々な見栄やら、欲だけを脱色しちゃえばいいんです。そうすればもともとの仏がちゃんと現れるというのです。
もとに戻った姿をみせてくれている、密蔵院境内のイエローブリックロードならぬ、イチョウの黄色いジュウタン――悟りの国にも通じていそうです。
次回は「もともと」つながりで、進めます。