第9話 お題拝借の裏事情

挿し絵 今回は皆さんからお題をいただくことにした裏事情―仏教加減乗除の秘密―について書きます。

 私の師僧が、晩年言っていた言葉に
「どんなことだって仏教という教えで割ってみれば、余りはでないはずだよ」
というのがあります。

 なるほど、先人たちは、鐘の音にさえ「諸行無常」を感じました。
[鐘の音÷仏教=諸行無常の教え]なんです。
[鶯の声÷仏教=法華経の大切さ]なんです。
 音や鳴き声なんか、ただの音波だ、教えなんか無いよ、と言ってしまえば、仏教では扱えない範疇があることになります。でも、そんなはずはないだろうと思います(一種のロマンですかねえ……)。

 一方で、仏教は私たちの生活に根ざしたものでないと困ります。そうでなければ、私もお坊さんになっていません。諸行無常の教えが私たちと遊離していては「何、それ?」でオワリです。
 つまり、どんなことだって、足しても、引いても、かけても、割っても仏教なら大丈夫だと思うわけです。つまり、加減乗除の秘密です。

 法話のお題というと、難しく考えがちですが、何でもいいんです。
餅、ファイアーウォール、赤、禁煙でもいいんです。どうだ、このお題で書いてみろ的ノリでOKです。本音を言いますと、タイトル考えるの、大変なんです。

 そんな訳で次回は「苦」でいきます。