第11話 関係ねえよ!
地下鉄でホームを下りたら、ジベタリアンと呼ばれる種族の一人に出会った。
服装が女子高校生だからコギャルのジベタリアンである。さぞやお尻が冷たかろうと思うと、昨今毛糸のパンツやら、紺パンと呼ばれる短パンもはいているのだそうだ。ヨカッタ。
でも、若い女の子が、ホームの地べたに座ってケイタイしているのは、どうもおかしいから言ってあげようと思った。
「お嬢さん、そんな格好でいるの、ヘンだよ」
思っただけで、結局、言わなかった。
「ぅるせーな!あんたに関係ねえだろ!」
とたしなめられそうだったからだ(何だか今回はオジサンっぽいな……)。
しかし、その後で思った。世の中に、関係ない、なんてことはないというのが、坊さんたる私が持っているべき世界観ではなかったか。
帝釈天が住む世界には、空に巨大な網が張りめぐらされている。その網の結び目はパチンコ球のようなものでできている。だから、一つの球には、その世界全てが写っているし、その球も他の球に写っている(これを帝網重々-たいもうじゅうじゅう-の世界と言います)。私たちの世界も帝網重々なのだ。
冒頭の女の子とは、同じ時刻にホームにいたという関係がある。否、同じ時代に生きている、人間同士という関係だってあるのだ。「関係ねえ」なんて言わせないぞ!(ホントに今回は酔っぱらいオヤジのたわごとみたいだ……)
次回は「一人前」でいきます。