第12話 一人前 ―子供が居ても居なくても―
好きな話にこういうのがあります。
社会学の学者、儒教の先生、和尚に質問をした。
「母親と、自分の連れ合い(夫or妻)が溺れていたら、あなたはどちらから助けるか?」
◇社会学の先生は「社会では家族が一番元の単位だから、連れ合いを助ける」
◇儒教の学者は「孝行こそ人の道、生んでくれた母親を助けるのじゃ」
◇黙っているお坊さんに2人は聞く、和尚はどう考えるのかと。
すると……和尚は言った。
「私なら、手近な方から助ける」
さて、子供を授かれなくて悩んでいる人が大勢います。じつは今回のお題もそんな方からいただきました。
結婚すれば子供ができるのは当然だと思っている人は結構多いのかもしれませんね。
だから中には「子供を持たなきゃ、人として一人前じゃない」くらいのことを言ってのける人もいるでしょう(それを言う人のほうが一人前じゃない気もします)。
寿司の出前じゃあるまいし、一人前の必要はないんじゃないかと思います。だって、子供がいる幸せと、子供がいない幸せは、どっちが幸せかなんて比べられませんよねえ。子供がいるゆえの不幸と、持たないがゆえの不幸を比べられないように……。
一人前になることが本当に幸福なんでしょうか。
半人前でいいじゃないですか!半人前の私が、縁をいただいた条件の中で、どのくらい素敵な人になれるのか――それを考えていきませんか?
今回は少し熱くなりすぎかな?次回はお釈迦さまの命日特集「北枕のナゾ」です。