第19話 わたし、えらい?

挿し絵 前回の父の発言と同じ頃――今年中学二年の娘が3歳のことです。
 ある日の夕飯、まだ小さかった娘が食べ終わったのは、いつものように、家族の中で最後でした。家内はすでに洗い物を開始。私はお茶を飲みながら、娘の行動をウォッチングしてました。
 彼女は食べ終わって、小さな手を合わせて「ごちそうさま」と言うと、自分の食器を重ねて、流しに運びました。次に、食卓に残っていたお兄ちゃん達の分もふくめて、空いた食器を器用に重ねて、家内のところに運びました。そして家内を見上げていいました。
「おかあさん、あたし、えらい?」
その、間髪いれず返された返事を聞いて、母親ってたいしたものだと思いました。
「えらいわね。ありがとう」だって。
私にはこういうことはなかなか言えません。私なら「褒められたくてするんなら、やらなくたっていいよ」くらいの、子供心を傷つけることを平気で言ってしまいそうでした。

 人には誰でも「四つの願い」があると言われています。

  1. ほめられたい
  2. 認められたい
  3. 愛されたい(注意が向いていること)
  4. 役にたちたい

です。このうち一つでも叶えば人は自殺しないと言われています。3歳の娘と69歳の大僧正も(実は私も)、これで生きているんだなと思います。
 でも、ここに問題が……

 次回は「四つのお願い」の巻です。