第22話 モラルの原点

挿し絵 森さんから「モラルの原点とは」のリクエストが来た。

 日本語辞典で調べたら「道徳」とでた。
さらに英英辞典には「行為の善悪の基準となる原理」だって(原文略)……ますます、難しい。
悪の代表とされる殺人にしても、チャップリンが『殺人狂時代』の中で言ったように「人ひとり殺せば犯罪者だが、100万殺せば英雄だ。殺した数が罪を浄化する」というのがありますからね。
善悪の判断はとても難しいです。

 お坊さんは道徳(モラル)の問題を考える時があります。仏教と同じようなことを言っている場合がありますからね。
そこで、良く言われる宗教と道徳の違いは

「無人島に1人で暮らしている時に必要なのが宗教、必要ないのが道徳だ」

です。
仏教に限らず、宗教は多かれ少なかれ「私」という個人の問題を扱います。ですから性別、場所(国籍)、人種、時代なんかには左右されないんです。
でも、モラルはあくまで「対人」ということを念頭に置いているんじゃないでしょうか。

 で、あるとすれば、前回のお題「いい人」の趣旨と同じことになってしまうかもしれません。
言い換えれば「我が身をつねって人の痛さを知れ」。これが、モラルの原子核のような気がするんです。
でも、なるべく「善」を考えて、それを追いかけていたいです。

 来週はショウザンさんからのリクエスト「価値観」でまいります。