第29話 誕生日
ディズニー映画『不思議の国のアリス』で、私のお気に入りは「お茶会」のシーン。めったやたらとお茶をついでは飲み、こぼしてはつぐ、いかれ帽子屋の2人。
「おめでとう!」と乾杯に力が入り過ぎて、カップをガチャンと割り、また、次のカップにお茶をそそぐ。
不思議に思ったアリスが「今日は誰かの誕生日?」と聞くと
「いや。なんでもない日。だから、なんでもない日、おめでとう!」と再びカップをガッシャーンと割る。
でも、そのシーンを見て思ったんです。どんな日だって、きっと誰かの誕生日のはずだ。だとすればあの帽子屋の2人は「だれかの誕生日、おめでとう!」と乾杯すればいいのに、って。
ウチの子供たちは、誕生日前になると「今年は何をプレゼントしてもらおうかな」と言い始めます。そんな時、ここ3、4年はこう言います。
「あのね、誕生日はプレゼントをもらう日じゃないよ。お母さんにごちそうする日だよ。生まれたんじゃない。生んでもらったんだから。スーパーの前で売ってるたこ焼きでもいい。生んでくれてありがとうって、ごちそうする日だよ」
「えっ?お父さんはいらないの?」
「うん、お父さんは少ししか協力してないから……」(このオチが書きたくて書いたわけじゃありません)
さて、次回の題は「梅雨」でいきましょうか。傘を買いたくなりますよ。きっと。