第52話 墓相

挿し絵 「住職さん。親戚の人に、お墓に大きくなる木を植えると、その家の幸運が吸い取られるって聞いたけど本当ですか?」
「嘘です。でも、本当です」
「?」
「確かに、お墓を覆い隠すような大きな木があるお宅はあまり繁栄はしていません。世間付き合いもあまりしないし、お墓参りも来ない、法事もほとんどやらないですね」
「じゃ、やっぱりそうなんだ」
「あのね、考え方が逆なんですよ。かつてはちゃんと木の剪定してたんです。だから木は大きくならなかったんです。それが、色々な事情で先祖のことを考える心の余裕がなくなっちゃうことがあるんです。お墓参りに来るどころじゃない、自分の生活で一杯一杯になっちゃう。来なければ木はどんどん大きくなるでしょ。たったそれだけの話です。木のせいにしちゃいけません。木が気の毒です……(もちろんここはボソッとつぶやいた)」

 いるんですよね、物知り顔で迷信を語って人を、混乱させる人が。そんな時は「どうして?」って質問するんです。たいがい「知らない」って答え。無責任も甚だしい。そういうことにはっきり答えてこなかったお坊さんたちの責任もありますね。迷信のご質問もお受けしますよ。

 さて、次回はシモシュさんからのリスエスト「歌」でいきます。どうして人は歌うんでしょう。