第66話 暗い話し方の裏側
密蔵院で「話の寺子屋」の講師をしている村上正行アナは、心のあり方から掘り起こして、参加者の心と話し方をブラッシュ・アップしてくれる。
世にあふれている話し方教室は、広告で
“人前で話せない人が、数千人の前でも堂々と話せるようになる!”
と謳い、街頭で大声の発声練習で羞恥心をなくさせたり、何度も人前で自己紹介の練習をさせて話し方でもっともいけない慣れを教え込む。そんなことは絶対にしちゃいけないと村上さんはおっしゃる。
その村上さんが、話し方を勉強しに来た人に“話し方が暗いです”とか“話し方が冷たいです”と言うことがあるそうだ。だいたいの人はムッとした顔をして
「そんなことはありません。私だって、仲のいい人たちと食事する時には、笑顔で明るくしゃべっています」
と返答するらしい。
実はそこが大事なところなのだと村上さんは言う。
“どんな人だって、気の合った仲間としゃべっている時に笑顔でいるなんて当たり前。誰だってできる。問題はそうじゃない。まだ北風が?も凍るくらい冷たく、それも真っ向から吹いている時に笑顔でいられるかどうかなんですよ。”
“話というのは、心のキャッチボールです。相手のとりやすい球を放るのが基本ですよ。「あなたの話し方は、まるで雨がシトシト降ってる夕方に、駅前の公衆便所に、はだしで入っていくみたいで、その気持ち悪さと暗いところが好きだ」なんていう人は、金輪際、いませんよ。”
村上さんの話は、人と接する時の心のあり方そのままをおっしゃっている気がする。嫌なこともたくさんある人生ですけど、せめて人と話す時には、表情も含めて相手に不愉快な思いはさせたくないものだと思います。
さて、次回は「食べ物の好き嫌いと人の好き嫌い」。その思わぬ関係について。“私は人の好き嫌いがはっきりしてるんだ”なんて自慢顔で言い放ってる人は特に読んでみて!