第100話 お地蔵さま
釈尊が入滅して56億7千万年経つと弥勒菩薩が弥勒仏となってその世に出現される。
それまでの末法無仏の世界を仏に代って一切衆生を導くようにと釈尊より委嘱されたのがお地蔵さまである。
地蔵さまは菩薩なので、観音様や文殊普賢様のように頭に宝冠をいただき、瓔珞を身につけ、お堂の中に祀られる方なのだが、僧形をして右手に錫杖、左手に宝珠を持ち、門のわきや村はずれに立っておられる。
錫杖は遊行の道具で、苦しみ悩む者があればどこへでもすぐ行きますということを示すものであり、宝珠は如意宝珠といって、思い通りに宝を出す珠のこと。
意のままに願いをかなえてやり、苦しみを抜いてやる神通力を示したものである。
それだけに地蔵さまは私どもに親しい身近な仏である。
地蔵の地とは大地のこと。
蔵は母胎のことで、母親がお腹に子宝を大事に包み蔵することの意である。
思えば大地は偉大なもので、人間をはじめあらゆるものを生み育てる。
それと同じように地蔵様は一切衆生の母体としてわけへだてなくすべてを平等に一切を救いあげてゆくのである。
オン、カ、カ、カ、ビサンマエー、ソワカ
オンは帰命、カ、カ、カは笑い声、ビサンマエーは希有なる尊よ、ソワカは速疾成就。
西有禅師は「オン・ニコニコ腹立てまいぞソワカ」と訳した。
忘れないために
「おい嬶(かかあ)、紙三枚、そうかい」
とおぼえるのも一興か。
地蔵のように他に奉仕していつもニコニコして生きたいものである。