第71話 密教の仏[4] 普賢菩薩i
普賢菩薩も文殊菩薩同様、釈迦如来の脇侍仏として釈迦三尊として祀られ、白象に乗る姿で表される場合が多い。
文殊菩薩は智慧、普賢菩薩はその智慧の実践、修行を促し、成仏へ導く。
良く知られる「華厳経」は、この世の全ての凡夫の三業の行いや煩悩が、消滅するまで願うことをやめないという、普賢菩薩の十の大誓願が教えとして説かれたものである。
十大願とは
- 礼敬諸仏(諸仏を敬い礼拝する)
- 称賛如来(如来を称賛する)
- 広修供養(諸仏にあらゆる供養を惜しまない)
- 懺悔業障(過去の罪科を悔い改め、仏に告白する)
- 随喜功徳(功徳を共に喜ぶ)
- 請転法輪(諸仏の説法を請い願う)
- 請仏住世(諸仏が常にこの世に住して導いてくれることを願う)
- 常随仏学(常に諸仏に学ぶ)
- 恒順衆生(恒に諸衆を敬う)
- 普皆回廻(全ての功徳をあまねく振り分ける)
で、諸々の罪障を滅し、成仏に至る功徳で人々を救済する。
密教においては、本来有している菩提心(成仏の境地の心)を総括する菩薩で、大日如来の眷属で、金剛薩埵と同視される。
密号を善摂・真如・如意金剛。異名を一切平等建立如来、一切義成就菩薩という。
身体は白肉色で、宝冠を載せ、左手の親指と人指し指で蓮華を持ち、花上に火炎の剣、右手は印を結んでいる。
又、法華経には六本の牙の白象に乗り、行者を守護し、修行を助ける姿で登場する。