1999-2000

第51話 ガン告知を考える

 平成5年12月15日、テレビ司会者逸見政孝氏はガンとの壮絶な闘いに敗れて亡くなった。ガン闘病生活を宣言してから百日余、しかし現代医学にとって難病といわれるスキルスガンに克つことはできなかった。 逸見さんはガンの告知を受 […]

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長谷川正徳のちょっといい話
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生と死病気
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第52話 現代の文明に安全の哲学を-花巻空港事故に因んで-

 先日(※1993年4月18日)、岩手県花巻空港で日本エアシステムの飛行機が着陸に失敗し炎上した。間一髪で最悪の事態は免れたが、検証の結果、副操縦士の操縦ミスによるものだという。名古屋近在の農協のツアー一行が乗っていて、 […]

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長谷川正徳のちょっといい話
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失敗から学ぶ
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第53話 殺すなかれ。殺さしむなかれ。

 仏教の根本の戒めが不殺生であることは、仏教がいのちの教えであることに由来する。釈尊のお言葉をそのまま集めたパーリ語のダンマ・パタという原始仏教経典の中に「一切の者は刀杖(武器)を恐れ、一切の者は死を恐る。己が身に思いく […]

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長谷川正徳のちょっといい話
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仏教用語
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第54話 幸福には前にはなくいつも背後にある

 昔、あるところに一本のローソクの灯があった。 それがある時、光というものは大変明るいものだと聞いた。「ああ、わしはその光なるものにめぐり逢いたい。わしの周囲はどちらを向いても闇ばかりだ」こういって、灯は光を探し求めて歩 […]

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長谷川正徳のちょっといい話
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昔話・民話
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第55話 東海大学安楽死事件で問われるもの

 神奈川県の東海大学医学部付属病院で昨年4月(※)、元内科助手の医師が、末期ガンの患者に薬物を注射し、安楽死させたとされる事件で横浜地検は去る7月2日、この医師を殺人罪で起訴した。安楽死問題で医師が起訴されたのは始めてで […]

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生と死
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第56話 いのちの重さを知らぬ若者

 この頃の若者による暴力沙汰、ことに殺人事件の多いのには、心を暗くさせられます。青少年の死に対する感覚が、この頃明らかに変わってきているようです。殺人が多いと同じように自殺も増えています。他人の死について深く受けとめない […]

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道徳・信仰生と死
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第57話 精神の峻厳さを忘れた若者たち

 この頃、総理府が発表した「科学技術と社会に関する世論調査」によると、18才から29才までの青年で、易や占いの本を読んだことがある人の割合は78%にのぼっている。  ところが、占いを「かなり当たると思う」のはわずか2%、 […]

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長谷川正徳のちょっといい話
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道徳・信仰
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第58話 脳死は人間の死ではない

 いま、国会へ臓器移植法案が提出されているが、この素案で脳死状態の人を「死体」とみていることに対しては、仏教者として反対である。 ひとたび法律が脳死状態の人を「死体」と規定してしまえば、ただでさえ「いのち」をモノと考えが […]

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生と死
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第59話 大災害は人を試す

 大きな災害は人を試すとか、ふだんは見えなかった人の心が見えてくるとかいうが、全くその通りである。  阪神大震災の報道を見て、思わず涙ぐむような場面にしばしば出あった。  「こんなときや、みんなタダや。持っていって食べて […]

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仏教用語
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第60話 人の命は機械ではない

 総理大臣の諮問機関として昨年発足した「脳死臨調」は精力的に実動しているもようでときどき新聞などにも動きが報道される。  近く、首相の答申が出されるとのことであるが、どのような内容であるのかわたくしどもは深い関心をもって […]

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道徳・信仰生と死日本文化・伝統
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第61話 人間の臓器は単なる『物』ではない

 いわゆる脳死状態の患者から、臓器を摘出して、他の患者に移植することを認める臓器移植法案が、議員立法として国会に提出されている。  仏教界からも各宗派の研究機関から見解表明が行われているが、おおむね、脳死による内臓移植に […]

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道徳・信仰生と死
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第62話 地獄、極楽はこの世にあり

 私の知人の息子で16歳の男子高校生がこの頃、ある新聞社の社会事業団を通じてユニセフに金50万円を贈った。  この50万円というのは実は拾った金。昨年夏、彼は通学途中、電車の座席に落ちていたのを駅員に届けた。  しかし落 […]

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仏教用語
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第63話 脳死は果たして人の死なのか

 脳死と臓器移植がいま、やかましく論議されている。脳死とは何かについては、すでに判定基準なるものが出て、はっきり医学的な見解が示されている。これはもっぱら医学の問題であるが、その脳死が本当に一人の人間の死であるかというこ […]

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生と死
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第64話 人は死すべきものである

 末期患者の安楽死を合法化する「安楽死法」が米国オレゴン州で誕生したとの報道があった。すでに昨年、オランダでは安楽死が容認されており、無駄な延命治療を拒否して「死ぬ権利」を認める動きが世界的潮流となりつつある。  しかし […]

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道徳・信仰生と死
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第65話 形より心へ

 昔、ある孝行息子が、足腰の立たない父親を背負って、お殿様のお通りを拜ませていると、それがお目にとまって、 「感心な若者じゃ。褒美をつかわせ」 というので、沢山の頂戴物をした。 その話を聞いた親不幸で評判男、 「うまいこ […]

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昔話・民話道徳・信仰
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第66話 涅槃ということ

 お釈迦様がおなくなりになったことを、涅槃(ねはん)にはいられたと申します。そしてそれは二月十五日であったと伝えられています。  釈氏要覧(しゃくしようらん)という書物に、「二月十五日、仏涅槃の日天下の僧俗に營会(えいえ […]

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仏教用語お釈迦様
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第67話 国家と宗教は分離せねばいけない

 中東戦争はいったいどうなってゆくのか、世界中の誰もがはっきりわからぬというのが今の状態であるが、たとえ殺し合いの戦争が終ったとしても憎しみや恨みに根ざした争いごとはかなりながく続くものとみられる。そのわけは、この中東の […]

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第68話 死とは生の終点ではない。いつも生と一緒。

 アメリカの未来学者ハーマン・カーンは、「二十一世紀に最も求められる職種はフィロソファーである」と言いました。フィロソファーは日本では哲学者のことですが、アメリカではもっと軽く、「ものを考える人」又は、「ものを考えること […]

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道徳・信仰生と死
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第69話 長寿ニッポン世界一揺るがず

 厚生省がまとめた「平成3年簡易生命表」によれば、男性の平均寿命が76.11歳、女性の平均寿命が82.11歳でこれは過去最大を記録するものであり、国際比較においても過去数年、男女とも連続世界一の座を維持しているとのことで […]

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長寿・高齢化社会ストレス
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第70話 “おばあちゃん”のすること

 これはある一家のお話です。夫婦共稼ぎの両親と、中学生のお嬢さん、それにご主人の母親という、ごくふつうの家庭です。  中学生のチーちゃんは、毎朝、仏壇にお線香を立て手を合わせ、それから朝食をとって学校へ行きます。誰に強制 […]

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第71話 あなたは今、幸せですか

 あなたは今、幸福を感じていますか?それとも自分くらい不幸な人間はいないとお考えですか?  幸せだと思っているあなたでしたら、今日までの毎日を一生懸命に生きてこられた人だと思います。また、オレは不幸せだ、自分の人生は苦し […]

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第72話 ちひろ大明神

 先日ある地方新聞に「霊験あらたか“孫のお守り”」という次のような投書が掲載されました。  『私に“ちひろ”という孫がいます。その子が中学生だった頃に、私が二度目のノドの手術をしなくてはならなくなり、娘たちが病院まで車で […]

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道徳・信仰病気
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第73話 拝む子に悪い子なし

「篤く三宝を敬へ、三宝とは仏法僧なり =中略= 何れの世、何れの人か、この法を貴ばざらん。人ははなはだ悪しきもの鮮(すくな)し、能く教うるをもて従う言々」聖徳太子  近年とみに青少年の非行問題が取り上げられます。殊に非行 […]

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第74話 二利同時

 仏教では、自分の利益と他人の利益が同時に成立することが、ただしい生活の在り方だと教えておられます。  一見なんでもない様に受けとれますが、大変むずかしいことでございます。人間は誰一人として現代社会から孤立して存在するこ […]

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第75話 自己という「カラ」

 ある日、洋子と則子という二人の少女が、庭でバドミントンをしていました。しかし、洋子の方が圧倒的に強く、何度やっても則子は無残な負け方をするだけでした。やがて則子はやけになって、ラケットを放り出し、試合をしようとしません […]

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長谷川正徳のちょっといい話
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