2005-2007
第151話 わたしゃマダマダだな
30人程と一緒に四国遍路(八十八カ所霊場)を初めてした時のことだ。 初日の宿は宿坊。つまりお寺で宿泊である。境内にバスが6台近くも入っていたから、たいへんな数のお遍路さんたちである。 さて夕方、部屋でくつろいでいると、 […]
第152話 誰ぞ知る、あんたが汚したんじゃないことを
前回は、宿のお風呂場でスリッパをどう脱ぐかということを、否、きちんと脱げないからこその修行なんだということを書きました。 次に使う人の身になってスリッパを脱ぐ。掃除する人の身になってゴミを散らかさない。このように相手の […]
第153話 拡大と縮小
さて、今回は沖縄から、ゆうさんのリクエスト。心がみだれた時の対処法についてです。 まず、心がみだれた状態を早く平穏な気持ちにしたいというゆうさんに拍手です。心に波風がたっていることに気がつくことは、なかなか出来ない人 […]
第154話 俺って温かいんだ
“自分が温かい”と自覚してから25年がたった。この場合、温かいとは気持ちのことではない。体温の話である。 私が生まれ育ったお寺(現在は兄が住職をしている)には釣鐘がある。携帯ラジオに合わせて毎朝6時、夕方6時(冬は5 […]
第155話 捨てる神あれば拾う神あり
渡る世間に鬼はなし←→人を見たら泥棒と思え 諺(ことわざ)は、その多くが、膨大な過去の経験(自分が生まれる前も含めて)が元になって今に伝えられている。だから全く正反対の諺が出現することが多々ある。 どんなことでも […]
第156話 正直であること
私が“青春の応援団長”と呼んでいる若者がいる。ギブソンのギターをドがつくほど太い音で弾く。歌詞に込められた思いを、表情ゆたかに精一杯に歌いあげる。大阪箕面在住のシンガー・ソング・ライター――森源太である。 森源太公式サ […]
第157話 異説 不動明王
世の中に流布している(と言っても多分200人くらいしか言ってない……)の中に次のようなものがあります。 “お不動さまには、座っているものと、立っているものがありますが、立っているお不動さまをまつってあるお寺の住職はいつ […]
第158話 続説 不動明王
今回は前回の続きで、不動明王ってホントにいるの?という皆さんの素朴な?から強引に引っ張って書きます。 さて、身体ではなく、心が動かない(何かを決心した)状態が不動明王の“不動”です。しっかり考え方ができている人って、 […]
第159話 草葉の陰
今回は“みみな”さんから質問、“人は死んだらどうなるの?”に沿って綴ってみます。みみなさんは中学生(だっけ?)、人生の疑問にたくさんぶつかる頃ですね。是非自分の心を耕せるような答えを見つけていってください。 4年前の […]
第160話 元いた場所
今回は前回(第159話 草葉の陰)からの続きです。まずそちらをお読みください。 「亡くなったお父さんが6年たった今ごろ、お坊さんのあなたは、どこにいると思うの?」「俺?」「そうよ、あなたよ。あなたはどう思うのよ!」「俺 […]
第161話 恐怖霊から祖霊へ
今回は冒頭から恐縮ですが、「苦」=「ご都合どおりにならないこと」という仏教の大前提からスタートです。 自分のご都合通りにならない横綱格が、生まれること、年をとること、病気になること、死んでしまうことの四つ。続いて大関 […]
第162話 これじゃタマシイがかわいそう
さて、今回は霊感商法の核心について書きます。一人でも多くの人が、恐喝詐欺の犠牲にならずに、しっかりと自分におこることを受け止めていただければ幸いです(今回初めて読む方は、まず、第159話「草葉の陰」~第161話「恐怖霊 […]
第163話 霊感商法の手口
自分にとっての不都合の原因が思いつかない時、新聞折り込みの霊感商法のチラシ。「霊の障りは実在するのです。手遅れにならないうち早めの因縁鑑定を。鑑定料一件3,000円の安心料金」――もしやと思って電話をしてみる。概要を話 […]
第164話 トドのつまり
今回の話は、魚のボラが成長するにつれて呼び名が変わり、最後にトドと呼ばれるな~んてことを書く訳ではありません。159話から進めてきた日本人の霊魂観念と、脅迫詐欺(霊感商法)がかたよった解釈の仏教語を使って皆さんの心を悩 […]
第165話 アイデンティティ
さて、今回は「私は誰?何者?あなたとどう違うの?」というアイデンティティについてです。大辞林を引いて今回の内容に合致する解説を見てみると、 アイデンティティ(同一性)[identity]《哲》人間学・心理学で、人が時 […]
第166話 比べちゃ、ヤーヨ
何か人と違ったことをやろうとすると、親たちは言う。「他の人を見てごらん。そんなことをしている人はいないだろ」 そして、子供が「だって○○さんもやっているよ」と言うと、同じ親が言う。「人は人、あなたはあなた。どうして人 […]
第167話 あなたは、どうするの?
今回は、“山猫美紀”さんからの「仏教は自殺についてどう考えてるの」に関連して、自ら命を絶つことについて、ご一緒に考えてみます。 玄侑 宗久(げんゆう そうきゅう)さんと瀬戸内 寂聴(せとうち じゃくちょう)さんの対談 […]
第168話 八つぁん、熊さんの仏教問答 I
えー、毎度「ちょっといい話」お読みいただき、ありがとうございます。今回は、少々趣向を変えまして、というより、ちょっと訳ありのツマラヌお話にお付き合いをいただこうってぇ、寸法でございます。芝居の台本を読むように(そんなも […]
第169話 八つぁん、熊さんの仏教問答 II
さて、前回からの続き。どうにもならないくらいチグハグな話をしている八五郎、熊吉、和尚に、和尚の奥さんが加わりまして…さて、どうなりますことやら。 女房 熊吉さんに、八五郎さん、いらっしゃい。お茶、どうぞ。熊吉 […]
第171話 セッセッセーのヨイヨイヨイ
読者の皆さんは、ご詠歌とか和讃というものを聞いたことがあるだろうか。念仏よりもずっとメロディがしっかりしている日本独特の宗教歌で、鈴を鳴らし、伏せ鉦を叩いてリズムを取りながら唱える。 実は、私はこのご詠歌が専門なのであ […]
第172話 ギャッ!牛乳パックの買い方……
今回は、高三の娘に誘われて行った、てんつくマン(改め軌保博光)のトークライブで身の程を知った話である。会場は約700人の人で一杯。 話の中で、彼は会場に向かって問いかけた。「この中で、牛乳パックを買う時に、棚の奥にあ […]
第173話 生き方と肩書き
この10月から、東京・荻窪の文化センターで般若心経の講座を一つ受け持つことになりました。講座タイトルは「…なんだそうだ般若心経」。お坊さんが一般の人と接触できるいい機会なので、月1回、全6回を楽しくやらせてもらおうと思 […]
第174話 昨日の敵は今日の友
世界中を熱狂させたサッカーW杯も終了。日本人の多くが寝不足になった。録画ができる時代なのに、やはりオン・タイムのライブでないと全く緊迫感がないのが良く分かった。日本は残念ながら一勝もできなかったが、予選の対戦チームのブ […]
第175話 年をとること
考えてみれば、私は今年4回目の年男だ。辞書によると“熟年”である。ぎゃっ!熟年とは60歳以上のことかと思ったら、やはり私は甘かった。 大辞林にはこうある…… 【熟年】円熟した年齢。五〇歳前後の年齢。中高年。実年。[小説 […]